留学生Kenkenのモンゴル通信

モンゴル困窮児童の生活・進学を支援するバイラルラ会現地派遣員で留学生のkenkenがモンゴルの今を熱くリポートします!
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モンゴル通信 第88信 (最終総括号)

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    にじモンゴル通信 第88信 (最終総括号)


    例年9月と言えば、上旬にみぞれがあり、それから気温ゆっくりと下降を続けて日中には10−15度に下がるはずです。しかしこのところ日中は20度、場合によっては25度にも達します。それでも朝晩は5度前後とまともになる感じです。

    1.いつも利用している小さなホテルの手違いで、国内のホテル・チェーンが市内に新設したホテルに泊まりました。場所は科学技術大学の近く、買い物のために学生街を若者に交じって歩いていると、5年前の院生時代を思い出し、ちょっとした感傷旅行の気分です。このホテルはいかにも現代的でクリーン・アンド・スマートを絵にかいたような雰囲気を持ち、ツインベッドの寝室の隣には大きな浴槽があって立派なシャワーが備わっています。しかしこの設備、お湯を浴槽の蛇口からシャワーへと切り替えるコック(栓)が見当たらないため、使用者は石鹸を洗い流すために体の前後を交互に蛇口にへばり付ける必要があります。モンゴルでは高層建築の多くを中国人デベロッパーが手掛けている現状があり、どうしてもこのような手落ち(手抜き?)が発生してしまいます。また発注する側もそんなことは気にしないのかチェックしないのか、要は無関心です。軍曹、数年前にも他のアパートで同様な経験をしました。そう言えばお湯は赤マーク、水は青マークの方向に蛇口をひねるのが世界の常識ですが、中国式では往々にして逆付きとなることがあるため、熱湯にご注意。トイレには中国人旅行者の爆買いで有名なトートー・ウオッシュレットがあります。しかし、TOTOのロゴが何となく小さく、<washlet> の上に点が打ってあるところがキナ臭い。食堂で妻が手にとったカップにコーヒーを入れたところなぜか手許で割れ、そばに居た可愛いメイドさんが「これは貴女のせいです」、やってきたマネジャーは「賠償は請求しませんから」とのたまいました。外見は近代化が進むウランバートルもその内側は未だ未完成な点が多いようです。


    2、今回のモンゴル行の目的は二つあり、その一つが我バービスト・ケアセンター(VCC)の創立20周年記念式典参加と、もう一つは 拙著「モンゴル児童福祉論」の印刷の件です。

    VCCの記念式典は9月17日の11時から園の敷地内広場で、例外的な暑さの中、内外約200名の人々の参加を得て開催されました。参加者は日本から我々夫婦とピースウインズ・ジャパンの理夏さん、外国からは香港、台湾、フランス、オーストラリアの支援者など多彩な人々の集まりで、それに何故か国軍軍楽隊も加わりました。

    会はまず、マシュー園長の英語・モンゴル語による演説で始まり、ウランバートル・バイヤンゴル区知事、市警察幹部の挨拶、園の設立母体であるカトリックCICM(日本で言う淳心会)アジア地区管区長、モンゴル教区司教の挨拶と長い演説が続き、それぞれに通訳と贈り物、メダルの授与が付随するのでかなりの長時間となりました。皆さんとても熱心に聞いていました。それにしてもモンゴル人のメダル好きは日本人の思考力を超えており、多分この儀式的な行為が感謝や名誉を小さな金属片で象徴する以上のあるものをモンゴル人の心に中に浸み込ませていくのだと思います。しかし演説の合い間合い間には園児たちの歌やダンス(とても上手で大拍手)、ボランティアで賛助出演したプロの歌手の歌、軍楽隊の演奏、卒業生男女4組による情熱的なタンゴのダンス(さすが大人!) が入るのでそれはそれで楽しい3時間でした。

    軍楽隊にはちょっと違和感がありましたが、この国ではリクルートと多少の収入増のために軍楽隊が出張演奏することがよくあるそうで、その意味で適齢期の男子が必ず入隊するVCCへの期待が高いのかもしれません。最近ホーミ―(二重歌唱)自慢の少年も入隊し、当然軍楽隊に入りました((蛇足ですが、徴兵制と言っても市民はそれを逃れる方法をよく知っています)。

    会も終わりに近づいた頃、突然軍曹に演説の御指名があってびっくり。何を話そうかと考えながら舞台の階段を昇りかけたら途端に足を踏み外して危うくひっくり返りそう(このところドウシテ何度も転ぶんだろう?) 、しかし舞台の袖にいた若者に支えられて助かりました。会場に悲鳴あり。当方、何食わぬ顔でバイラルラ会を代表してお祝いを述べるとともに、バイラルラ会設立の由来、成果としての60名を超える学生送り出し、その彼らが既に自分たちの子供を持ち始めていること等を話しました。最後に「バイラルラ会は、皆様方から国籍を超え、東シナ海の大海を超えて、この国の若者の人生のある時期を共に歩むという素晴らしい経験の機会を与えられました。心から感謝します。有難うございました(世界中が知っている日本語)」と述べスピーチ(デス!) を締めくくらせていただきましたが、これって、支援者の皆様をはじめ世話人会一同が一様に持っている実感だと自信をもっていうことができると思います。
     

    3、ところで、支援活動を開始してから既に10年以上。当日出会った卒業生の状況について報告しますと、なにしろ当方の頭の中には未だ彼らの少年少女時代のイメージが生き続けているので、成人した彼ら(特に女性)の変化について行くのが大変でした。そうして驚いたことに全演説を通して英・モ両語を交互にてきぱきと通訳し続けていた女性が何と我々の第1回支援学生のボロルツヤと判明。少女時代からは想像もつかない成人振りと職業能力の高さに唖然とします。彼女は既に立派な通訳の専門家として子供を育てながら活躍していました。他の卒園生たちも2,3の例外と最近の卒業生を除いて皆が力強く自立の道を歩んでいる様子で、国立病院の看護師、美容院の雇われ店主も出てきていました。園児同士の結婚は3組、皆を合わせると20人近くの二世が誕生しているそうです。中でも女性陣の結束は固く、フェースブックを用いて緊密なコンタクトを保ち、お互いに助けあっているとのこと。家族的なつながりが持たれている限り、彼らが社会で孤立することはない筈ですからこれは心強い限りです。VCCの養育の成果だと思います。

    なお、これはバイラルラ通信18号でお知らせしたことですが、昨年12月に現役男子学生のミャグムスレンが全国最優秀学生9人の1人に選ばれて総理大臣表彰を受け、また同じ月に女子学生のアズジャルガルがエルデネ大学全校生中の最優秀学生として表彰されました。無論、私たちにとって優秀な学生が出てくることは喜ばしいことですが、上記のように卒業生が社会人として自活の道をしっかりと歩んでいることがもっと大切です。そしてこれこそが私たちの活動の目的でありました。困難な幼少期を経験したにもかかわらず、大人の側の愛情とサポートがあれば、子供たちの中にはそれを乗り越えて歩む力が生まれるのです。20周年はそのような事実を確認する機会となりました。
     

    4、ついで、博士論文「The Child Welfare in Mongolia」(モンゴル児童福祉論)の印刷について説明しますと、この論文は1990年の民主化革命を期に発生したストリート・チルドレンについて、その発生のメカニズムと実態分析から出発し、日米など先進国の児童政策の成果を取り入れつつ、結論的にモンゴル文化に根差した『児童福祉法』の導入を提案したものです。この論文は何と2010年4月にわが母校モンゴル科学技術大学社会学部の審査会を通り、モンゴル政府に回付されました。この国では博士号の授与権は政府にあり(社会主義の名残)、政府は論文を審査委員会(モンゴル大学=現地の東大の教授を中心に構成)に回しました。その後、指導教授のガリマー先生はやいのやいのとモンゴル大学に通うのですが、委員会は「審査はやっている」、「よくできている」の一点張りで、その先はどうなるのかが皆目見当がつかない状況です(遅延の理由は英文で100頁を理解するのはつらい?モンゴルの社会・人文関係の先生方は表や数字の出現に抵抗感がある?外人にとやかく言われるのは嫌だ?などなどの諸説があるかも)。業を煮やした先生がごく最近出だした結論は、「そちらがそうなら、こちらは論文を印刷して、福祉に関心を持つ研究者や学生に配布してしまえ」です。軍曹も施設の児童だけが良い将来を保障されているのは不思議な現象であり、すべての困難児童のためには広く論文の内容を知ってもらいたいとの考えからこの案に大賛成しました。そこで20周年のモンゴル訪問に合わせて少部数ながら超スピードの発行となり、先生とともに出版社でドラフトの超スピード校正に取り組みました。内容には幾つかの瑕疵があるかもしれませんが、軍曹としては多くのモンゴル人学生が本書に接してくれればと願っています。

     
    最後に、2004年に発信を開始して以来モンゴル通信は88号を数え、バイラルラ会も設立以来11年を経過して前述の実りを与えられました。論文もようやく前進の発端をつかんだようです。一方、バイラルラ会の世話人会や支援者の高齢化は明白な事実であり、これに末永く学生支援を頼ることには限界があります。よってVCCの20周年を区切りとして本通信の発信を終了することと致しました(会の活動終了は来年3月)。モンゴル通信の読者の皆様、長い間のお付き合いを有難うございました。本当に感謝いたします。

    今後とも現地の支援要請は強く、数を減じながらも児童は学生へと成長していくので、何か負担の少ない支援法を考えて行きたいと思っています。

    軍曹

     

    2015.09.21

               
    さくらんぼ Kenkenの携わっている「バイラルラ会」(バイラルラとはモンゴル語で『ありがとう』の意味)ってなに?と思われる方は、バイラルラ会HPをのぞいてみてね!→バイラルラ会HP http://bayarlalaa.comこちらをポチっと<(_ _)>
    「バイラルラ会」は、モンゴルの困窮児童の進学を支援し、将来の自立を促す活動をしています。支援の方法や活動内容などの詳細が掲載されていますので、ぜひご覧ください!


    あと『軍曹』とは猪突猛進型の性格のためいつからか呼ばれるようになったKenkenのあだ名ですのでびっくりしないでね!実際は知的好奇心旺盛なジェントルマン(紳士)ですから(笑〜)


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