留学生Kenkenのモンゴル通信

モンゴル困窮児童の生活・進学を支援するバイラルラ会現地派遣員で留学生のkenkenがモンゴルの今を熱くリポートします!
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モンゴル通信第86信

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    富士山この通信は日本で書いています。超乾燥の国から湿度65%、梅雨真っ盛りの国へ、高度1000メートルの街から11メートルの自宅へ。ほんの5年前なら何ともなかったのに、今回は順応に苦労しています。歳か! 
     物事には裏と表があるように、実はウランバートルの発展にも影の部分があります。先回それも書こうと思ったのですが、陰陽を同時に書くと小生も皆さまも混乱すると思いましたので、分けてここに書く次第です。
     
    1、6月の上旬にドッグショウ(含むドッグ用品)が市の南西の展示場で開かれました。こんな高級なことってモンゴル開闢以來の出来事です。軍曹がはじめて来た2000年代の初めの頃には町に野良犬が結構いてそれも高級犬の系統。ロシア人が民主革命後に退去した際に置いて行ったのではないかと聞きました。暫くして市政府が駆除に乗り出し(チクショウ!)、一部は食糧難から食べられてしまったとの噂が飛び交いました。その後街に犬は見かけなり、次いで現れたのがこのドッグショウです。ついにここまで来たか!建設ブームも高級マンションもこれと同列です。帰国して日本の中古車をモンゴルに輸出している友人に聞くとこの夏はブームで超忙しいとのことでした。ズバリ、バブルです!
     
    2、しかし、全ては20087月の民衆による人民革命党本部焼打ち事件から始まりました。国会議員選挙の不当集計に怒った市民約1万人が党本部ビルを襲い、警官隊により数名の市民が殺されました。その翌日から首都に戒厳令です(HP「号外」参照)。それ以降の選挙で各政党は国民の人気を得るために、鉱産物輸出の成果を市民に現金で還元する政策を掲げ、選挙後にこれを実行しました。元社会主義国のモンゴルでは利益を市民に配布することに政府も市民も疑問を持ちませんでした。
     
    3、2010年以降鉱産物の世界的な価格高騰のおかげで、モンゴル経済は急成長します(実質平均成長率12%)。政府はお金の配布にあたり、これを国の財政収支に組み込むことなく、別に作った特別枠(人間基金)に入れてそこからの配布としました。これでは国家予算の枠外となるため財務統制が効かないばかりか、国が将来を見つめて産業政策を創出するべき時の余裕資金は残りません。この枠内原資が枯渇すると政府は国営企業からのローン等で補充しました。
     
    4、一方、国際収支を見ると、この国は電力・ガソリン等のエネルギー、機械類、それに生活必需品の大部分を中国とロシアからの輸入に頼っているので、いくら資源輸出が躍進しても貿易収支は常に赤字です。そこで外国からの投資や援助金などの資本収入を取り入れて、合計としての国際収支をトントンにするというこの国のパターンでした。しかし外資の力を借りた資源開発とその輸出が活発になればなるほど、国内では「わが資源の利益はわれわれに」との国民感情が強くなるのが当然です。2012年に政府は鉱業を中心として国が重要と認める産業領域にたいする政府の関与を強める政策を打ち出しました(外資の出資比率を抑える)。このことと安定を欠く政府の外資政策を見て、翌年から外資の流出が始まります。結果、2013年の国際収支は大幅な赤字となり、当然、鉱業所の閉鎖や人員解雇が始まりました。モンゴル政府は国立開発銀行を設立して政府債を発行し外国から(日本では「侍ボンド)18億ドルもの外資を集めました。つまるところモンゴルは膨大な対外債務を抱えたことになります。
     
    5、大量の外資が国内に入りこむと(出稼人の送金を含む)お金がだぶつき銀行は建設業を中心として、かっての日本と同じように貸し出しに走ります(013年末の銀行の貸付残高は2010年のなんと3倍!)。バブルの発生です。これに前述の資本逃避の動きから通貨トウグルクの下落が始まり、輸入物価の高騰が加わったため2014年即ち今年に入って超インフレが発生中です。現在トウグルクの対ドルレートは2010より25%減(1
    1,356TGから1,830TG)、同じく2010年以來10%台で上昇していた物価も多分今年は20%台に上昇するでしょう。
     
    6、高層マンションやビルが建ち並ぶ街なみ、高級レストランやホテル、ITの普及による生活の円滑化を楽しむ人々、この近代都市の裏側をちょっと覗いて見ると、一部の人が豊かになる中で、底辺の人はとてつもない物価の上昇に戸惑い、一般の人も今後の生活におびえる、そんな姿が見えてきます。小麦粉の値段が上がってパンも高い、牛肉を買うのを週1回に減らした等の声は2005、6年ごろ軍曹が聞いた声と同じです。ある友人はゲル地区でせっかく良くなった治安がまた悪化していると言います。教育費の値上がりはわがVCCでも深刻です。光の裏にある影。
     
    7.日本人がモンゴルで暮らして感じるのは、この国の人の貯蓄意識の低さ(昔は余裕が出来ると馬を買った、だから資産が増える。今は車を買う、だから借金が増える)、また生活における計画性の欠如です。良い意味で突き詰めるなら、国民性として将来に対する不安を持っていないと言うことでしょう。何歳で結婚して、何歳で親になり、何歳で子どもが就職して、何歳で年金生活、そのためにはまず貯金だ!!広大で豊かな自然に囲まれていると、こんな矮小な考えに行きつくことはないのでしょう。政府は経済再建100日委員会を作って打開策を検討していますが、出てくる内容はかって計画したが実行しなかった計画や、短期的なものばかり(との報道あり)100日で問題の解決案をひねり出すと言う発想こそが問題でしょう。ムーディーズもこの5月にせっかくの政府債の評価をネガティブに格下げしました。
     
    8、軍曹としては困難な環境の中で生きる児童をより苦しい状況に引き込みかねない事態の推移に関心を持たざるを得ません。そこで、今この国に必要なことは長期短期に政策を分けてそれぞれを実行することだと思います。短期のターゲットは明らかにインフレの収束と通貨競争力の回復ですが、世界にはそのためのエキスパートがゴロゴロ居るのでその助言を待つのが早急かつ効果的だと思います。一方の長期計画、これこそ不得手であってもモンゴル人自身が取り組むべきことでしょう。モンゴルは石炭、カシミヤなどの原料を輸出してエネルギー、日用品などを輸入しています。従ってその差額の付加価値は他国の利益となり、モンゴルの国際収支には重荷となって跳ね返ります(日本は逆。原料を輸入し加工して輸出。その付加価値で国民が生活してきた)。何としてでも国内に2次産業を根付かせ、付加価値の国内保有率を高めねばなりません。そのためにはまず、国内の資本蓄積のために最も苦手な貯蓄の習慣を国民が身につける必要があるようです。技術も資本もない段階から出発した明治期日本の資本形成や、リー・クワン・ユー首相がシンガポールでやり遂げた有名な「給料の天引き貯蓄政策」等が参考になるかもしれません。小生も勉強してみるつもりです。 ではまた。軍曹



    さくらんぼ Kenkenの携わっている「バイラルラ会」(バイラルラとはモンゴル語で『ありがとう』の意味)ってなに?と思われる方は、バイラルラ会HPをのぞいてみてね!→バイラルラ会HP http://bayarlalaa.comこちらをポチっと<(_ _)>
    「バイラルラ会」は、モンゴルの困窮児童の進学を支援し、将来の自立を促す活動をしています。支援の方法や活動内容などの詳細が掲載されていますので、ぜひご覧ください!


    あと『軍曹』とは猪突猛進型の性格のためいつからか呼ばれるようになったKenkenのあだ名ですのでびっくりしないでね!実際は知的好奇心旺盛なジェントルマン(紳士)ですから(笑〜)


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